なぜ英語は「つなげて発音」した方が通じるの? 脱カタカナ!メリハリある流れる発音を目指せ!

「英語を一生懸命話しているのに、ネイティブに聞き返されてしまう…」 「自分の英語が、どうしてもカタカナっぽく聞こえてしまう…」

そんな悩みをお持ちではありませんか?

もしかすると、あなたは日本語のように「一語一語をはっきり」発音しようとしすぎているかもしれません。

今回の記事では、「メリハリ」のある、流れるような発音を目指して、「脱カタカナ発音」の秘訣をご紹介します。英語の「リンキング(連結)」や「ストレス(強勢)」の重要性を理解し、ネイティブに通じる発音を手に入れましょう!

この記事は、1万人以上の発音を改善してきた「ドクターDイングリッシュ」の発音ディレクター、Dr. Dの解説に基づいています。

Presenter

ドクターDイングリッシュ
英語を「声」から変える発音専門スクール

  • 発音ディレクター: Dr. D
  • 実績: 1万人以上の発音を改善
  • 趣味: 釣った魚を料理して振る舞うこと

英語と日本語、「はっきり」の根本的な違い

「英語は、単語同士を滑らかにつないで発音する(リンキング)のが良い」と聞いたことがあるかもしれません。

しかし、「一語一句はっきりと発音した方が丁寧で通じやすいのでは?」と疑問に思いませんか?

実は、英語の「はっきり」と日本語の「はっきり」は、根本的に方向性が異なります。

🔍 日本語の「ハッキリ発音」とは

日本人が「ハキハキ話す」時、それは**「一つ一つの音節(音の区切り)全てが際立つ」**ように話すことを意味します。

例えば、「は・き・は・き・と・は・な・し・ま・す」 このように話すことで、音節の一つ一つは際立ちますが、その分、一つ一つの音は短く、ブツ切れになりがちです。

💡 英語の「ハッキリ発音」とは

一方、英語の「はっきりした発音」とは、**「重要な単語が際立った、伸びのある発音」**を指します。

もっと簡単に言えば、「メリハリのある発音」です。

これは「長い音(強く発音する部分)」と「短い音(脱力する部分)」の繰り返しで構成されます。イメージとしては、「はっきりと伸びる音」を「脱力した音」で滑らかにつないで発音する感じです。

例: We started it seven years ago. (私たちはそれを7年前に始めました)

カタカナ発音: ウィ・スターテッド・イット・セブン・イヤーズ・アゴー

メリハリ発音: /wi STAR dede SE vun YEEZ uh GOU / (ウィ スターディディヴン イーーゴウ

このように、重要な単語(STAR, SE, YEEZ, GOUなど)の母音をしっかり伸ばし、それ以外(wi, dede, vun, uh)は脱力して短くつなげる。

これが英語の「はっきりとした発音」です。 「伸びる音」をより際立たせるために、結果として全体が滑らかにつながった発音になるのです。


カタカナ発音は「Choppy(ブツ切れ)」

もし、先ほどの文を日本語の「はっきり発音」のように、すべての音節を際立たせようとするとどうなるでしょう?

「ウィ!スター!テッ!ド!イッ!ト!セ!ブン!イ!ヤーズ!ア!ゴー!」

これでは、音節ごとに音がブツ切れになってしまいます。 本当に際立たせたい大事な音(STARなど)に十分な伸びが得られず、かえって非常に聞きにくい発音になってしまいます。

このようなブツ切れの発音を、英語では「Choppy(チョッピー)」と呼び、日本人訛りの典型例としてよく挙げられます。


🌊 流れる発音の土台「ブレスフロー」

では、どうすれば「メリハリがあり、かつ滑らかな」発音ができるのでしょうか。 単語一つ一つを綺麗に発音することよりも、フレーズ全体を通して「どれだけ滑らかに、かつ、くっきりと発音できるか」が重要です。

その鍵となるのが「ブレスフロー(息の流れ)」です。

大事なポイント:息を吐きながら全体をつなげて発音する

息の流れが途切れると、発音もブツ切れ(Choppy)になってしまいます。常に一定の息を流しながら、その息に音を乗せていくイメージを持ちましょう。

ブレスフローの作り方

  1. あくびをして喉奥を広げる: 喉のリラックスが重要です。
  2. 息はソフトパレット(口の奥の柔らかい部分)に当てる: 喉から直接ではなく、口の奥で響かせる意識を持ちます。
  3. 子音を被せるように音をつなげる: 息の流れを止めずに、子音を「ポン」と乗せていく感覚です。

🗣️ 実践1:ブレスフロー・エクササイズ

「はっきり伸ばす音(ストレス)」を「脱力した音」でつなぎ、全体を滑らかに発音する練習です。

  • SAH sa SAH sa SAH sa (Sausage x3)
  • SA sa SA sa SA sa (Salmon x3)
    • It’s my favorite salmon sausage.
  • HAH ha HAH ha HAH ha (Hollywood x3)
  • HA ha HA ha HA ha (Handling x3)
    • You’re handling well in Hollywood.
  • MAH ma MAH ma MAH ma (Monster x3)
  • MA ma MA ma MA ma (Mango x3)
    • Those mangos are like monsters.
  • YA ya YA ya YA ya (Yams x3)
  • YEE yi YEE yi YEE yi (Years x3)
    • I haven’t had yams for years.
    • *ポイント: 喉を完全に閉じると Ear (耳) に、喉を狭めると Year (年) になります。

🎙️ 実践2:TEDで発音トレーニング

実際のネイティブの音声を使って、メリハリと滑らかさ(リンキング)をトレーニングしましょう。

題材: The inside story of ChatGPT’s astonishing potential (Greg Brockman)

練習のポイント:

  1. ストレス(強く・長く読む部分)をしっかり伸ばす。
  2. 脱力して滑らかに次のストレスまでつなぐ。

短いかたまりから始め、徐々に範囲を広げて発音します。

フレーズ別・発音解説

1. We started it seven years ago. /wi STAR dede SE vun YEEZ uh GOU /

  • started it が /STAR dede/ のように滑らかにつながります。

2. We started OpenAI /wi STAR ded OU pun EIAI/

  • アルファベット(O, A, I)は全てにストレスが置かれ、はっきり発音されます。

3. seven years ago /SE vun YEER zuh GOU/

  • seven の /n/ と years の /y/ がくっつき、/vun YEER/ となります。

4. because we felt like /bi KAHZ wi FELt laik/

  • felt の最後の /t/ は発音されず(ミュート)、次の like につながります。

5. something really interesting /SUM thing REEh lee IN trus ting/

  • interesting の /ing/ の /g/ を「グ」と破裂させないよう注意。

6. was happening in AI /wuz HA puh ning in EIAI/

  • in の /n/ が AI にくっつき、/ning in EI-AI/ → /ni nEI-AI/ のように聞こえます。

7. and we wanted to help steer it /en wee WAH ne du HELp STEEr it/

  • wanted の /nt/ が脱力し /ne/ のような音になり、to も /du/ と脱力します。

8. in a positive direction. /ina PAH si tiv di REK shun/

  • in a が /ina/ とつながり、positive の /i/ は全て脱力して曖昧な音になります。

9. It’s honestly /its AH nust lee/

  • honestly の /t/ はミュートされます。

10. just really amazing to see /jus REEh lee-uh MEI zing tu SEE/

  • really の /r/ が just に食い込むように発音されます。

11. how far this whole field has come /hau FAR this HOUL FEEld-huz KUM/

  • field の /d/ と has の /h/ がつながり、/h/ が消えて /d/ が濁り /huz/ のように聞こえます。

12. since then. /SINS then/

  • 軽く息を吹きかけるように。

補足:ストレス(強勢)の位置について

  • ストレスの位置に絶対的なルールはありませんが、傾向はあります。
  • 基本的には、文の中で**意味の強い単語(名詞、動詞、形容詞など)**に置かれます。
  • ネイティブは「声を張って脱力する」を繰り返すのが発音しやすいため、「ダーダ・ダーダ・ダーダ」というリズムが英語のベースになっています。

🔁 実践3:完璧に真似る「コピーイング」練習法

今度は、少し長めのフレーズを滑らかにつないで発音する「コピーイング」に挑戦しましょう。 お手本の音声(動画など)を聴き、フレーズごとに音をストップさせ、リズム感やタイミングを完全に真似て発音してみます。

コピーイングのルール

  1. 意味をちゃんと噛み締めながら発音する。(ただの音真似にしない)
  2. 特にストレスのタイミングを、お手本とぴったり揃える。
  3. スピードは、自分が音に詰まらない(滑らかに言える)早さでOK。
  4. 何も見なくてもスラスラ口が動くようになるまで、繰り返し練習する。

練習用フレーズ:

We started OpenAI seven years ago because we felt like something really interesting was happening in AI and we wanted to help steer it in a positive direction. It’s honestly just really amazing to see how far this whole field has come since then.


まとめ:練習こそが王道

いかがでしたか? 「メリハリ」をつけながら「滑らかに」長いフレーズ全体を発音するのは、最初はとても大変だと思います。

それこそ100回くらい練習しないと、口が思うように動いてくれないかもしれません。

そういう時は、自分が音の詰まるポイントだけを切り取り、そこだけを繰り返しループさせて発音してみましょう。そして、また全体を通して発音してみる。ぜひ、そんな地道な練習を繰り返してみてください。

あなたの「Choppy」なカタカナ発音が、ネイティブに伝わる「メリハリのある流れる発音」に変わっていくはずです。


ドクターDイングリッシュからのお知らせ

このような発音練習の動画は、ドクターDイングリッシュのYouTubeチャンネルで毎週アップされています。ぜひチャンネル登録して、過去の動画なども見ながら練習してみてください。

また、発音に関する質問等がありましたら、動画のコメント欄に書き込むと、動画で取り上げられるかもしれません。

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詳細は、ドクターDイングリッシュのウェブサイトやYouTubeチャンネルの概要欄をチェックしてください。

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About Dr.D 657 Articles
ドクターDイングリッシュの創立者。元プロミュージシャンで英語ボイトレ講師を経て2011年に発音スクール設立。YouTuber歴10年以上。日本の英語教育に発音を普及させるミッションを掲げ邁進中。淡路島で外国人専用Fishing Charterのオーナー船長も務める。

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