なかなか抜けない「カタカナっぽさ」を根本から変える唯一の方法

「簡単な英単語のはずなのに、何度言ってもネイティブに通じなかった…」

そんな悔しい経験はありませんか?

こんにちは!発音ディレクターのDr. Dです。

実は、英語が通じないのには明確な理由があります。そして、その根本的な原因を解決しない限り、いくら単語や文法を覚えても、あなたの英語は聞き取ってもらえないかもしれません。

今回は、多くの日本人学習者が陥る「カタカナ発音の罠」と、そこから抜け出すための具体的な方法についてお話しします。

結論:カタカナ発音は「日本語化された外国語」です

なぜ私たちの英語は通じにくいのでしょうか?

その最大の理由は、私たちの発音の土台に「カタカナ発音」が根強くあるからです。

どんなに英語学習を頑張っている人でも、日本語を母国語として育った以上、これはある意味仕方のないことです。

考えてみてください。カタカナ英語は、外国語を無理やり「日本語の音のルール」に当てはめて作られたもの。いわば**「日本語化された外国語」**なんです。

英語と日本語では、音の出し方の根本が全く違います。それなのに日本語のルールで英語を読んでいるのですから、通じなくて当たり前ですよね。

多くの方は、RやL、THの音など、個々の「子音」や「母音」の発音ばかりを気にしがちです。しかし、そういった部分的な発音をいくら矯正しても、フレーズ全体で話すと、なぜか「カタカナっぽさ」が抜けないのです。

この問題を打破する鍵は、「声の出し方」そのものを変えることにあります。

【徹底解剖】”Hand”はなぜ「ハンド」では通じないのか?

例えば、”Hand”という簡単な単語。これをカタカナで「ハンド」と発音すると、なぜ通じないのでしょうか?

本来の英語の音と比べて「何が」「どう違う」のか、具体的に見ていきましょう。

  • ① Handの /h/: 息の当たる場所が違う
  • ② Handの /a/: 母音の響き方が違う
  • ③ Handの /n/: 鼻音の響き方が違う
  • ④ Handの /d/: ほぼ発音しない

これらの違いを理解し、すべての単語に応用できるようになれば、あなたの発音は劇的に改善されるはずです。

ネイティブに近づく!”Hand”の正しい発音 3つのステップ

では、具体的に「カタカナ読み」と何が違うのか、詳しく見ていきましょう。

STEP 1: 母音 /a/ は「喉の奥」で深く響かせる

英語の母音は、日本語のように口先で浅く発音するのではなく、**「喉の奥」**で深く響かせるのが特徴です。

  • 練習法:
    1. あくびをするように、喉の奥(軟口蓋、ソフトパレット)を大きく開きます。
    2. 開いた喉の奥に息を当てるようなイメージで「アー」と声を出します。
    3. 日本語の「ア」よりもずっと深く、響きのある音になるのを意識しながら、音をしっかり伸ばしましょう。

STEP 2: 鼻音 /n/ は「鼻に抜ける音」を意識する

英語の /n/ は、ただ「ン」と言うだけではありません。喉を響かせながら、鼻から息を抜く「鼻音」です。

  • 練習法:
    1. 舌先を上の歯茎の付け根あたりにしっかりとつけます。
    2. 口を閉じたまま、鼻から息を漏らしながら「ン〜」と喉を響かせます。
    3. 音が途切れないように、しっかり伸ばすのがポイントです。
      • n〜〜n〜〜n〜〜
      • han〜〜 han〜〜 han〜〜

STEP 3: 語尾の /d/ は「発音しない」のが正解

これは衝撃かもしれませんが、語尾の破裂音(k/g, p/b, t/d)は、ほとんど発音されません。

  • 練習法:
    1. “d” を発音する時と同じように、舌先を上の歯茎の付け根に持っていきます。
    2. 音は出さずに、舌をその位置に置くだけで止めます。これが英語の “d” の音です。
      • hand, hand, hand
      • handful, handful, handful
      • hand-made, hand-made, hand-made

このように、カタカナの「ハンド」という3つの音と、本来の英語の “Hand” では、何から何まで全く違うことがお分かりいただけたでしょうか。

【実践編】応用フレーズで発音練習!

それでは、今学んだことを使って、フレーズ全体を発音してみましょう!

“Add a handful of salt and pepper”

(塩コショウをひとつまみ加える)

意識するポイント

  • Add: STEP1で練習した /a/ です。音が短くならないように、喉の奥で「アー」と響かせましょう。
  • Add a: “Add” の最後の “d”(舌をつけた状態)から、次の “a” へ滑らかに繋ぎます。「アッダ」ではなく「アードァ」のようなイメージ。
  • handful: /h/ は息をしっかり吐き、/a/ は短くならず、/n/ で声が途切れないように。/d/ は舌をそっと離すだけ。
  • handful of: “handful” の最後の /l/ と “of” の /əv/ を滑らかに繋ぎます。「ハンドフルオブ」ではなく「ヘァンフラヴ」のように聞こえます。/v/ は下唇に上の歯を軽く触れさせるだけ。
  • salt: 母音は /ɑ/(ア)と /ɔ/(オ)が混ざったような音。最後の /t/ は舌を歯茎につけるだけで音はほとんど出しません。
  • salt and: “salt” の /t/ の位置から、そのまま “and” の /n/ に滑らかに繋ぎます。
  • pepper: 最初の /p/ は唇をしっかり閉じて息を溜めてから破裂させます。/e/ は「ペッ」と短く切らず、「ペー」と少し伸ばす意識で。最後の /er/ は軽く短く発音します。

ステップ・バイ・ステップ練習

焦らず、少しずつ音を増やしていきましょう。それぞれの音の繋がりを意識してください。

  1. Add a
  2. Add a hand
  3. Add a handful
  4. Add a handful of
  5. Add a handful of salt
  6. Add a handful of salt and pepper

さいごに

練習お疲れ様でした。

**カタカナ発音は、あくまで「日本語化された外国語」**です。英語には英語の発声方法があり、音の響かせ方、繋げ方、終わらせ方など、何から何まで日本語とは異なります。

もし今、あなたの発音がなかなか上達しないと悩んでいるなら、個々の音を修正することにこだわりすぎるのを一度やめてみてください。

そして、もっと根本的な**「声の出し方」「喉の使い方」**から見直してみましょう。

きっと、そこに大きなブレイクスルーがあるはずです。頑張ってください!

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About Dr.D 648 Articles
ドクターDイングリッシュの創立者。元プロミュージシャンで英語ボイトレ講師を経て2011年に発音スクール設立。YouTuber歴10年以上。日本の英語教育に発音を普及させるミッションを掲げ邁進中。淡路島で外国人専用Fishing Charterのオーナー船長も務める。

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