目次
Presenter
ドクターDイングリッシュ
発音ディレクター Dr. D
・英語を「声」から変える発音専門スクール
・1万人以上の発音を変えた実績
・週3で淡路島に出没します
突然ですが、“Vision” (ビジョン) と “Pigeon” (ピジョン)。 これら2つの単語、英語で発音するとき、同じ「ジ」の音になっていませんか?
日本語のカタカナではどちらも「ジ」と表記されますが、実は英語では全く違う音として区別されています。
「え、そうなの?」と思った方、多いかもしれません。 細かな違いなので、これまであまり意識してこなかったのではないでしょうか。
でも大丈夫。この記事を読めば、その違いがハッキリとわかり、自信を持って発音できるようになります。 ヒントは日本語の「ジ」と「ヂ」の違い…と言いたいところですが、音声学的に言うと、もっと明確な違いがあります。
それでは、いってみましょう!
そもそも /ʒ/ と /dʒ/ は何が違う?
まず、発音記号で見てみましょう。
- “Vision” の「ジ」は $/\ʒ/$
- “Pigeon” の「ジ」は $/d\ʒ/$
「D(/d/)が入ってるかどうか」が大きな違いですね。 これが具体的にどういうことかと言うと、**「音の出し方」**が根本的に違います。
1. “Vision” の /ʒ/ は「摩擦音」
/ʒ/ は摩擦音です。 これは、舌を口の中のどこにも当てずに、舌と上あご(口蓋)の間を狭めて、そこに息を通して「ザー」という摩擦を起こす音です。
試しに「ジーーーーー」と、息が続く限り音を伸ばしてみてください。 これが /ʒ/ です。
2. “Pigeon” の /dʒ/ は「破裂音」
一方、/dʒ/ は破裂音(正確には破擦音)です。 こちらは、一度 /d/ の位置(舌先を上の歯茎のすぐ裏あたり)に舌をピタッと当てて息を止め、それを一気に「ヂッ!」と破裂させて出す音です。
/ʒ/ のように「ジーーー」と伸ばし続けることはできず、「ジッ、ジッ、ジッ」と区切れてしまいます。
日本語の「ジ」は、多くの場合こちらの /dʒ/ に近い音で発音されています。だからこそ、/ʒ/ の方が私たち日本人にとっては少し厄介なのです。
まとめ:
- /ʒ/ (Vision): 舌を当てない。摩擦し続ける「ジー」。
- /dʒ/ (Pigeon): 舌を一度当てる。破裂させる「ヂッ」。
見分け方は「スペル」にあり!
では、いつ /ʒ/ になり、いつ /dʒ/ になるのでしょうか? これには非常に分かりやすい「スペルの法則」があります。
摩擦音 /ʒ/ (舌が当たらない) → “S”
単語の中にある s のスペルが「ジ」の音になる場合、ほとんどがこの /ʒ/ になります。
- vision
- usual
- pleasure
- measure
- casual
破裂音 /dʒ/ (舌が当たる) → “G”, “J”
一方で、g や j のスペルが「ジ」の音になる場合は、/dʒ/ になります。
- pigeon
- angel
- large
- jeans
- judge
これで、どちらの音で発音すべきか、かなり判別しやすくなったはずです。
【発音のコツ】/sh/ と /ch/ から練習しよう
違いはわかったけれど、どうやって発音し分ければいいの? という方のために、簡単な練習法をお教えします。
それは、**無声音(声帯が震えない音)**のペアから練習することです。
- /ʒ/ (zh) は /ʃ/ (sh) の「有声音」 /ʃ/ (sh) は、「シーッ」と静かにするときに出す「シ」の音です。このとき、舌はどこにも当たっていませんよね。 この /ʃ/ (sh) の口の形・舌の位置のまま、声帯だけを震わせると、/ʒ/ (zh) の音になります。 「シー」→「ジー」(/ʃ/ → /ʒ/)
- /dʒ/ (j) は /tʃ/ (ch) の「有声音」 /tʃ/ (ch) は、「チッ」と舌打ちするときや、「チーズ」の「チ」の音です。このとき、舌はしっかり上あごに当たって破裂しています。 この /tʃ/ (ch) の動きのまま、声帯だけを震わせると、/dʒ/ (j) の音になります。 「チー」→「ヂー」(/tʃ/ → /dʒ/)
この「無声音+有声音」のセットで覚えるのが、発音習得の近道です。
実践!単語ペアで練習ドリル
それでは、無声音と有声音のペアで、実際に単語を発音してみましょう。 (※発音表記は Dr. D スクール独自の読みやすい表記を使っています)
1. 舌を当てない練習 (/ʃ/ → /ʒ/)
- /ʃ/ (sh): vicious /vi shus/ (悪意のある)
- /ʒ/ (zh): vision /vi zhun/ (ビジョン)
- /ʃ/ (sh): Patient /pei shunt/ (患者)
- /ʒ/ (zh): Asian /ei jun/ (アジアの) ※/ʒən/ が一般的ですが、/ʃən/ との対比として
- /ʃ/ (sh): Prosciutto /pruh shoo tow/ (プロシュート)
- /ʒ/ (zh): Garage /guh raazh/ (ガレージ) ※米語発音
2. 舌を当てる練習 (/tʃ/ → /dʒ/)
- /tʃ/ (ch): cheese /cheez/ (チーズ)
- /dʒ/ (j): jeans /jeenz/ (ジーンズ)
- /tʃ/ (ch): Catch /kach/ (捕まえる)
- /dʒ/ (j): Edge /ej/ (端)
- /tʃ/ (ch): Kitchen /ki chin/ (キッチン)
- /dʒ/ (j): Engine /en jin/ (エンジン)
どうですか? 舌を「当てる・当てない」の意識が、音の明らかな違いを生むことを体感できたでしょうか。
フレーズで仕上げる発音エクササイズ
最後に、フレーズの中で2つの音を意識して練習してみましょう。
ミニマルペア対決
似た音の単語を対比させて練習します。
- (舌を当てない /ʒ/) Vision / Vision / Vision
- (舌を当てる /dʒ/) Region / Region / Region (地域)
- (舌を当てない /ʒ/) Pleasure / Pleasure / Pleasure (喜び)
- (舌を当てる /dʒ/) Major / Major / Major (専攻、主要な)
- (舌を当てない /ʒ/) Leisure / Leisure / Leisure (余暇)
- (舌を当てる /dʒ/) Ledger / Ledger / Ledger (台帳)
センテンス練習
ターゲットの音を強調して読んでみましょう。
【/ʒ/ 練習 (舌を当てない)】
- It’s my pleasure.
- I usually watch television.
【/dʒ/ 練習 (舌を当てる)】
- He is a major.
- I read the journal generally.
【混合練習 (意識して使い分ける!)】
- The angel (/dʒ/) had a usual (/ʒ/) message (/dʒ/). (その天使は、いつもの (/ʒ/) メッセージ (/dʒ/) を持っていた)
まとめ
いかがだったでしょうか? “Vision” /ʒ/ と “Pigeon” /dʒ/ の違い、そしてスペルのパターンとの関係性、伝わりましたでしょうか。
- /ʒ/ は「S」 → 舌を当てない摩擦音
- /dʒ/ は「G」や「J」 → 舌を当てて破裂させる音
正直に言うと、この2つの音を間違えたからといって、会話が全く通じなくなることは稀です。文脈で伝わることがほとんどでしょう。 しかし、この違いを**「知っている」そして「意識できる」**ようになると、あなたの英語のリスニング力、そして発音の解像度は格段に上がります。
「ネイティブはこの2つの音を無意識に使い分けているんだ」と知ることが、上達への第一歩です。
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