目次
Presenter
ドクターDイングリッシュ
発音ディレクター Dr. D
・英語を「声」から変える発音専門スクール
・1万人以上の発音を変えた実績
・神戸の山奥に住んでいます
突然ですが、クイズです!
Q. 「Pattern」の発音で、一番長く「伸ばす」音はどちらでしょう?
- Pa
- tern
英語学習に熱心なあなたなら、自信を持って答えられるかもしれません。
しかし、英語上級者を含む回答者の実に51%が、このクイズを間違えていたのです。

もしあなたが「2. tern」だと思ったなら、それは非常に危険なサインかもしれません。
「これは、いかん!」
そう思い、今回は英語のリズムと発音の根幹に関わる「伸ばす音=ストレス」について、徹底的に解説します。
Today we’ll be focusing on how to pronounce stressed syllables, so that you’ll be able to clearly express what you really mean. (今日はストレスが置かれる音節の発音に焦点を当てます。そうすれば、あなたが本当に言いたいことを明確に表現できるようになるでしょう。)
衝撃の事実:英語の「ストレス」は「強く」ではなく「伸ばす」音
まず、皆さんが英語学習の初期段階から持っているかもしれない、大きな「誤解」を解くところから始めます。
今日から、英語の「ストレス」や「アクセント」を「強く・強調する」と考えるのは、一度やめてみてください。
代わりに、こう覚え直してください。 「ストレス = その単語で一番【長く伸ばす】音」
この認識の違いが、ネイティブのような流暢なリズムを生み出すか、日本人特有のブツ切りの発音になってしまうかの分かれ道です。
勘違い発音 vs ネイティブ発音
先ほどの Pattern で見てみましょう。
- よくある勘違い(強く): Paを「強く」発音しようとして、後ろのternが不自然に伸びる。「Pa-terrrrrn」
- 正しい発音(長く): Paを「一番長く」発音し、trnは短く添える。「Paaaaaa-trn」
もう一つ、Color で見てみましょう。
- よくある勘違い(強く): Coを「強く」言って、lerrが伸びる。「Kuh-lerrrrrr」
- 正しい発音(長く): Coを「一番長く」発音する。「Kuhhhhhh-lr」
少し大袈裟に書いていますが、この「ストレス音節(アクセントのある部分)を一番長く伸ばす」という意識こそが、英語の自然なリズムを作る最大のコツなのです。
リズムの違い
この違いが文になると、さらに顕著になります。
Color patterns(色のパターン)
- 勘違いリズム: 「タター・タターン」(日本語的な平坦なリズム)
- ネイティブリズム: 「タータ・タータ」(伸ばす音と短い音が明確)
Lures with a lot of different color patterns(たくさんの異なる色のパターンを持つルアー)
この文のリズムは、ストレス(伸ばす音)を意識すると、以下のようになります。
/ Loooo rz witha Lahhhh dv Deeee fren Kuhhhh lr Paaaaa tnz /
はい、本日もご視聴ありがとうございました! ……と言いたくなるくらい、実はもう英語発音の核心はこれで完結してしまったのです(笑)
なぜ英語上級者でさえ「伸ばす」ことを知らないのか?
しかし、この発音の基礎中の基礎である「ストレス」に関して、海外在住者や仕事で英語を使うような英語上級者の半数以上が勘違いしているという事実は、重く受け止めるべきです。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
答えは単純で、誰も「ストレス=伸ばす音」だと正しく教えてくれないからです。
日本の英語教育では、ストレスは「強勢(きょうせい)」や「アクセント」と訳され、「その部分を強く発音する」と教えられます。
辞書の発音記号でも「ˈ」マークが付いているだけ。「強く」と言われれば、私たちは無意識に声を張り上げたり、力を入れたりしてしまいます。
しかし、実際のネイティブの英語を聞いてみてください。 誰も Color を「Kuh-lerrrr」とは発音していません。例外なく、ストレスが置かれた音節を一番「長く」発音していることがわかります。
発音指導の現場でも、「強く」ではなく「長く」と説明するだけで、生徒さんの発音は劇的に自然になります。
ネイティブの感覚と日本人の「コツ」
ちなみに、ネイティブスピーカーにこのことを聞くと、「特に伸ばしている意識はない。単にリズム的にアクセントを置いているだけだ」と答えることが多いようです。
しかし、私たち日本人からすると、それは明らかに「伸ばして」います。
音楽的に例えるなら、日本語は「ダカダカダカダカ」と全ての音が同じ長さで並ぶ(8分音符)のに対し、特にアメリカ英語は「ダーカダッカ・ダーカダッカ」とスウィングする(付点8分音符+16分音符)感覚に近いです。
この「ダー」の部分を意識的に作ることが、私たち日本人がネイティブのリズムに近づくための最短ルートなのです。
発音の仕組み:「音節」と「ストレス音節」を理解する
では、ここまでの説明で何度も出てきた「音節」や「ストレス音節」という言葉を、もう少し詳しく解説します。
要するに、「どういう単語の、どの部分を伸ばせばいいのか?」というルールです。
音節(シラブル)って何?
難しく検索すると「母音を一つ含む音のかたまり」と出てきますが、これではピンと来ませんよね。
簡単に言えば、日本語で「はっ・き・り・は・つ・おん」と一音ずつ区切った時の、その「一音」が英語の音節(Syllable)に近い概念です。
Pattern→ /pa-tern/ (2音節)Color→ /kuh-ler/ (2音節)
では、このフレーズはどうでしょう? There’re a lot of different color patterns.
これを音節単位で、あえてブツブツと発音するとこうなります。 / their – uh – laht – ahv – di – fer – run – kuh – ler – pa – ternz /
補足: ちなみに
differentは /di-frent/ と2音節で発音されたり、There'reも /their/ と1音節になったり、単語は会話の中で省略され、音節が少なくなることも多々あります。
ストレス音節(Stressed Syllable)とは?
次に「ストレス音節」ですが、これは文中でアクセントを置き、私たちが「伸ばす」べき音節のことです。
ストレスは基本的に、その文の意味を形作る重要な単語、すなわち**「内容語」**(名詞、動詞、形容詞、副詞など)に置かれます。
先ほどの文で見てみましょう。 There’re a lot of different color patterns.
この中で内容語は lot, different, color, patterns です。 (There're, a, of は文法的な機能を持つ「機能語」なので、通常ストレスは置かれません)
そして、各単語には「どこにストレスを置くか」というルールが決まっています。
different→ dicolor→ kuhpatterns→ pa
これらを組み合わせると、先ほどの文で「伸ばすべき」箇所(ストレス音節)は、以下の太字の部分になります。
/ their uh laht ahv di fer run kuh ler pa ternz /
ボトムライン:仕組みを理解したら、あとは「伸ばす」だけ!
どうでしょうか? 英語のリズムの仕組みが、何となく理解できましたか?
要するに、今日一番伝えたかったボトムラインはこれです。
「英語を話す時は、内容語のストレス音節を、意識的に一番長く伸ばして発音する!」
たったこれだけを意識するだけで、日本人特有のブツ切れで単調な発音は劇的に改善され、相手に伝わりやすい「英語らしいリズム」が手に入ります。
応用練習:実際のTEDトークで確認しよう
理屈がわかったら、実際の英語で「伸ばす」感覚を掴んでみましょう。
以下のTEDトーク(アダム・グラント氏)の一節を見てみてください。ストレス音節(伸ばす音)を意識しながら聞いて、真似てみると効果的です。
The surprising habits of original thinkers (独創的な人の驚くべき習慣)https://www.ted.com/talks/adam_grant_the_surprising_habits_of_original_thinkers
- And they ended up naming the company Warby Parker. (彼らは結局、会社をワービー・パーカーと名付けた)
- They sell glasses online. (ネットでメガネを売っている)
- They were recently recognized as the world’s most innovative company (彼らは最近、世界で最も革新的な会社として認知された)
- and valued at over a billion dollars. (時価総額は10億ドルを超える)
- And now? My wife handles our investments. (だから今、我が家の投資は妻がやっている)
- Why was I so wrong? (私の何がいけなかったのか?)
さいごに:あなたの発音を変える最後のクイズ
では、この記事の総仕上げとして、最後のクイズです。
Q. valued で一番長く伸ばす音節はどこでしょう?
- Va
- Lued
…はい、ここまで読んでくださったあなたが「2. Lued」と答えることは、もう無いはずです。答えはもちろん「1. Va」 (Vaaaaa-lyood) ですよね。
今日のボトムラインを、もう一度繰り返します。
「ストレス音節は、強く発音するのではなく、一番【長く伸ばす】ところ」
There’re a lot of different color patterns. (ターラ ララ ディーフェレン カーラ パータンズ)
この意識が、あなたの英語を「伝わる発音」へと導く、大きな一歩となるはずです。
ドクターDイングリッシュではこの様な「発音に役立つ動画」を毎週アップしています。 ぜひチャンネル登録して過去動画なども見つつ練習してみてください。 また、感想などコメントでいただけると毎週動画をアップする励みになります。
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それではまた来週の動画でお会いしましょう! See you next time! Bye!
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