「短い言葉なら比較的拾えるけど、言葉が長くなるにつれ、理解が追いつかなくなる」 「最初は聞き取れていても、途中から迷子になって全く聞き取れなくなる」
ネイティブの英語を聞いているとき、こんな経験はありませんか?
実はこれ、**「無駄を省く」**という意識を持つだけで、今のレベルのままでも多少楽に聞き取れるようになるんです。
今回は、TOEIC600〜700点レベル(簡単な会話は成り立つが、込み入った話や速い会話は苦手)の方を対象に、ネイティブの速い英語に置いていかれないための解決策をお話しします。
目次
なぜ「途中から」聞き取れなくなるのか?
まず、なぜ最初は良くても徐々に理解が追いつかなくなるのでしょうか。 AIに一般的な原因を聞くと、「音声変化への不慣れ」「語彙不足」「脳の処理速度」「日本語を介した理解」などが挙げられます。
これらは正論ですが、もう少し深掘りして、根本的な2つの原因に絞って解説します。
原因①:「語彙」と「音声変化」を別々に捉えている
「語彙力がないから聞き取れない」とよく言われますが、単語帳で単語の意味だけを覚えてもリスニングは伸びません。なぜなら、「語彙」とは「発音(音声変化)」とセットだからです。
さらに言えば、語彙は単語単体ではなく、**「意味を成す単語のかたまり(チャンク)」**で捉える必要があります。
例えば、「沸騰するまで煮立たせる」という表現。
We’re going to bring it up to a boil.
これを単語ごとに区切るのではなく、以下のような「音の塊」として認識できているかが重要です。
- We’re going to → /wer go na/ (ワゴナ)
- bring it up → /bring-ih dup/ (ブリンニダップ)
ネイティブはこれらを一息で発音します。これが「音声変化」であり、これを含めて「語彙」なのです。 試験対策以外では、文脈のない単語帳は一旦置いておきましょう。動画などの「文脈がある状況」で、「発音込み」で表現を覚えるのが最も効率的です。
原因②:「和訳」しようとして脳の処理速度がパンクする
もう一つの大きな壁が「脳の処理速度」です。 日本人の場合、英語を聞くそばから**「日本語に訳して理解しようとする」**癖がついていることが多いです。
これだと、情報量が増えたりスピードが上がったりした瞬間に、脳の処理が追いつかなくなります(バッファオーバーフローの状態です)。
解決策:「絵(イメージ)」で捉えるリスニング
では、どうすれば良いのでしょうか? 私がおすすめするのは、**「解像度を下げて、絵(イメージ)で理解する」**という方法です。
100%の精度の和訳を捨てる
相手の一言一句を正確に日本語にする必要はありません。 特にリスニングにおいては、日本語を排除し、頭の中で「4コマ漫画」をパラパラとめくるように、情景をイメージするだけで十分です。
「精度の高い理解(完璧な和訳)」をしようとすればするほど、日本語が介入し、処理が遅れます。 あえて全体の精度を少し下げ、**「ぼんやりとしたイメージ」**で捉え続けること。これを続けていると、下手なりにも「英語を英語のまま理解する」感覚が掴めてきます。
実践!「イメージ化」発音トレーニング
今回は、私が好きなYouTubeジャンル「Catch and Cook(釣って食べる)」の中から、Cooking with Clams というチャンネルの動画を題材に練習してみましょう。
料理のシーンは動作が伴うので、イメージ化の練習に最適です。 以下のスクリプトを見ながら、**日本語訳を覚えるのではなく、そのシーンを頭に思い浮かべる(イメージする)**ことに集中してください。
題材:ネギの調理シーン
Now we move on to our leeks. (ネギの処理にとりかかるイメージ)
I didn’t have these earlier (さっきは手元になかったな、という状況)
otherwise the tops of these would have gone into our stock (あればトップ部分を出汁に使えてたのに…という残念な気持ち)
but cut the tops off (実際にトップ部分を切り落とす映像をイメージ)
these are little too tough to use anything other than things like stock (ここは硬すぎて、出汁くらいにしか使えないんだよな、という感触)
Always want to check. So I’ll show you in a second. (中身をチェックしなきゃ。今見せるね、という動作)
Split down the middle here (真ん中から包丁で割るイメージ)
I always want to check because dirt can hide out inside (中に泥が隠れてるかもしれないからチェックする)
But these are pretty clean (開いてみたら、意外と綺麗だった)
Now peel that outside layer off (外側の一枚をペロっと剥く動作)
Yeah, these look pretty good (うん、いい感じのネギだ)
And then all we’re going to do with these… We’re going to slice them up pretty fine (これをどうするかというと…かなり細かくスライスしていく動作)
even though we’re cooking them down (これからドロドロに煮込むわけだけど…)
because of the fibers that run up along them (繊維がこうやって縦に走っているから)
even if you cook them down and then you’re going to puree them (煮込んで、さらにピュレ状にしたとしても)
you might end up with those fibers still sticking around a bit. (繊維がまだ少し残って、口触りが悪くなるかもしれない)
So I’m going to take them down to pretty thin slices, like so. (だから、こんな風にめちゃくちゃ薄くスライスして落とし込むんだ)
練習のポイント
一度イメージを作ったら、次はスクリプトを見ずに音だけを聞いてみてください。 どうですか? 日本語に訳さなくても、「意味の区切り」や「場面の移り変わり」が映像として浮かんできませんか?
このように、**「意味のかたまりごとにしっかりシーンをイメージする」**練習を積み重ねると、ダラダラと続く速い英語でも、自然と言葉の区切りが掴めるようになります。結果として、「途中から迷子になる」ことが激減します。
まとめ:英語は「動画」で「イメージ」と共に覚える
- 単語帳より動画: 文脈のある動画で、発音(音声変化)込みで表現を覚える。
- 和訳よりイメージ: 完璧に訳そうとせず、4コマ漫画のように頭の中で絵を描く。
- 再現性を高める: 自分がスムーズに発音できる表現が増えれば、聞き取りは圧倒的に楽になる。
ぜひ、あなたの好きなジャンルの動画(料理、DIY、Vlogなど)を使って、この「イメージ化リスニング」を試してみてください。
Dr. D English ドクターDイングリッシュでは、今回のような実践的なトレーニング動画を毎週配信しています。発音を体系的に学びたい方は「動画コース」、専門トレーナーと本格的に学びたい方は「発音コース」もぜひチェックしてみてください。
それではまた! See you!
Would you like me to…
この記事の構成で、例えば「Catch and Cook」の部分の英語解説をもっと詳しくしたり、逆に短くまとめたりといった調整も可能です。ご希望があればおっしゃってください。
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