海外で働いているとき、あるいは英語での会議中、「自分の発言がスルーされたのに、同じことを後から言ったネイティブは評価されている」 という経験をしたことはありませんか?
今回の記事では、フランスのGoogleで働く日本人プログラマー、Asamiさんの実体験と、発音矯正のプロフェッショナルであるDr. D(ドクターD)によるコーチングセッションを通じて、「伝わる英語」 の核心に迫ります。
目次
1. Google プログラマー Asamiさんの悩み
「単語すら聞き取れず、絵を描いてコミュニケーションしていた」
フランスのGoogleで2年半勤務しているAsamiさん。プログラミングのスキル一本で採用されたものの、渡航当初は英語が全く話せず、インターン時代は質問を聞き取ることもできずにホワイトボードに絵を描いて意思疎通を図っていたそうです。
現在はチャットツールなどである程度カバーできるものの、マネージャーから「リーダーシップ」を求められるようになり、避けて通れない壁にぶつかりました。
痛感した「発音の壁」
Asamiさんが語った最も悔しい経験は、ネイティブとの共同プロジェクトでの出来事でした。
「私の発言はあまり重く捉えてもらえない。でも、後で同じことを他の人が言うと『それはいい意見だ』となる。発音が悪くて聞きにくいから、相手が無意識に聞き流してしまっているのではないか」
Dr. Dはこの現象について、「相手がいじわるをしているわけではなく、発音が悪い英語を理解しようとすると脳に負荷がかかり、無意識に『話半分』で聞いてしまうことがある」と分析します。
2. 日本人の英語が「伝わらない」根本的な理由
Dr. Dは、Asamiさんの英語を聞き、日本人が陥りやすい根本的な原因を指摘しました。それは**「音の捉え方と出し方の違い」**です。
「波」vs「点」
- 英語・フランス語の耳: リズムや強弱(波)で音を捉える。
- 日本語の耳: 一音一音を均等な長さで平坦に捉える(点)。
例えば “Appreciate” という単語。 日本人は最初の「A(ア)」から聞き取ろうとしますが、英語のリズムではアクセントのある「pre(プリ)」が強く聞こえ、最初の「A」はほとんど聞こえません。この**「リズムの波」**に乗れていないと、どれだけ文法が正しくても相手の脳に届かないのです。
3. 劇的改善! Dr.D流「3つの発音矯正ポイント」
セッションの中で行われた、英語らしい響きを手に入れるための具体的なトレーニングを紹介します。
① 喉奥発音(Throat Resonance)
日本語は口先だけで話しがちですが、英語は喉の奥を響かせます。
- 方法: 息をソフトパレット(喉の奥の柔らかい部分)にぶつけるイメージで発声します。
- 練習: 「ハー、ハー、ハー」と息を吐きながら、声を奥へ奥へと引いていく感覚です。これが英語の母音の質感を作ります。
② 息を止めない(Breath Flow)
単語ごとに息を止めず、一本の息の流れの上に音を乗せ続けます。
- NG: Wel – come (息が切れる)
- OK: Weeellcoome (息が流れ続ける)
③ 意味の塊で話す(Chunking)
単語単体の発音(シラブル)を気にするあまり、全体の流れが途切れがちです。「意味の塊(チャンク)」を一息で言い切ることが重要です。
- 練習: I talked to my mom / last night. (「母と話した」「昨夜」という塊ごとに、一気に喉奥から息を流して発音する)
4. ビフォー・アフター:変化の瞬間
有名なスピーチ『GRIT(やり抜く力)』を題材にしたトレーニングの結果、Asamiさんの英語は短時間で大きく変化しました。
- Before: 一語一語が独立しており、平坦で少し自信なさげな印象。聞き手は集中して単語を拾う必要がある。
- After: 声が低く太く響き、フレーズごとの繋がり(フロー)が生まれた。聞き手がリラックスして内容を理解できる「英語らしいリズム」に変化。
Asamiさんも**「自分でも全然違う感覚。喉を使っている感じがする」**と、その変化を体感していました。
5. まとめ:英語は「音のフォーム」から
Dr. Dは最後にこう締めくくります。
「口が回るようになるには筋肉の慣れが必要ですが、『どういうフォームで声を出すか』という感覚を掴むことが第一歩です」
発音が良くなると、相手にストレスを与えずに意見を届けられるようになります。それは結果として、仕事の評価や信頼関係の構築に直結します。
もしあなたが「文法は合っているはずなのに伝わらない」と感じているなら、それは**「声の出し方」と「リズム」**に原因があるかもしれません。まずは喉の奥を開き、深い息の流れを作ることから始めてみましょう。
Leave a Reply